『どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか』
五つ星評価:★★★★★
心理描写の解像度高くて、懐かしさを感じさせるような映像美も相まって心がぎゅっとなる

■作品情報
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| 公開日 | 2027年3月3日 |
| 制作会社 | コミックス・ウェーブ |
| 上映時間 | 63分 |
| ジャンル | 恋愛/青春 |
■あらすじ
小学生の遠野貴樹と篠原明里は、互いの家族の転勤によって離れ離れになってしまう。
中学、高校、社会人へと成長していく中で、二人の距離は少しずつ、しかし確実に広がっていく。
本作は「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の三つの短編で構成され、
少年少女の心の変化と、時間と距離によって変わっていく想いを描いた連作アニメーションである。
■五つ星評価
| 甘酸っぱさ | ★★★★★ |
| キャラクター | ★★★★★ |
| ストーリー | ★★★★★ |
| 作画 | ★★★★★★ |
| 余韻 | ★★★★★★ |
■ネタバレなし感想
とにかく映像が静かで、きれいで、残酷な作品。桜や雪、空や電車といった風景が丁寧すぎるほど描かれていて、景色を見ているだけなのに感情が動いてしまう。恋愛映画というより、「好きだった気持ちがどうやって思い出に変わっていくか」を淡々と見せられている感覚に近い。盛り上がる展開は少ないのに、観終わったあと、なぜか胸の奥に重たいものが残る。誰しも一度は経験したことのある、言葉にできない感情をそのまま映像にしたような作品。
この作品が辛いのは、誰も悪くないまま、関係だけが終わっていくところにある。貴樹も明里も、相手を大切に思っていたのは確かで、それでも時間と距離が二人を少しずつすれ違わせていく。中盤以降、貴樹が過去に囚われ続ける一方で、周囲の人間関係をちゃんと掴めなくなっていく描写が生々しい。ラストの踏切のシーンは、再会という希望を一瞬だけ見せてから、完全な「終わり」を突きつけてくる。救いがないのに、現実として納得してしまう結末で、だからこそ何年経っても忘れられない作品になっている。

